ふと立ち止まり、
手を触れて、その物語に想いを馳せてみる。
その先にゆったりと広がるもう一つの世界。
そこはやわらかな木洩れ日で満たされていた。

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SHOW ROOM OPEN:毎月第4日曜日 13:00〜17:00
HALF MOON FURNITURE WORKSHOP (ハーフムーン ファニチャ ワークショップ)
横浜市青葉区寺家町にある家具工房。家具修理やオーダー家具を設計・製作しています。

ナラ材壁面棚板

壁面棚 ナラ材

 

ほんのちょっとしたものだけれど、それがあることでものが生き生きとして、なんとなく楽しい気持ちになることがある。

今回、茅ヶ崎市のお客様からのご依頼で製作させていただいた壁面の棚板もお客様にとってそんな存在になってくれたと思う。

 

ものの素材そのものにどうしようもなく惹かれるというお客様のキッチンには、木や陶、ホーロー、鉄などで作られたポットや急須、器などお気に入りの道具たちが並んでいる。そんな道具たちの居場所を壁面に作りたいとのことから壁面に棚板を作らせていただくことになった。

棚板には特有の虎斑が出るナラの柾目材を使い、その素材を最大限に活かせるように仕上げていく。さらに鉄そのままの風合いを活かした転び止めを製作して取り付けた。

 

それ自体には複雑な構造も飾りもない、たった2枚の棚板。壁面に取り付け、ものを並べてみるとそのものたちの存在が際立ち、生き生きとして見えた。

後でお客様から聞いた話によると、取り付けを終えて僕が帰った後、棚にものを並べながら、うれしすぎて本当に小躍りしてしまったのだとか。

 

自然の素材に、その魅力を最大限に活かすための最小限の手を加える。それが空間の中でものの居場所をつくり、空間全体が生き生きとして、そこで過ごす時間が少し楽しいものになってくれたら。それはとても豊かなものづくりの形なのではないかと思う。

シンプルだけれど、とても印象深い製作になった。

 

takashi

 

 

キッチン収納 ナラ材

キッチン収納 ナラ

 

これまで既製品のラックを並べて使っていたキッチン背面の壁一面をリフォームされたいとのことで、カウンター収納と吊り収納製作のご依頼をいただいた。

 

下段のカウンター収納は向かいのキッチンと合わせた白、天板から上は全てナラ材で製作した。

下段には収納するものに合わせた寸法の引き出しを7杯、壁面にはオープンの棚板を2枚設置、さらに吊り収納の下にはスチールでラックを製作させていただいた。

 

取り付け初日、大工さんの山川さんと一緒に現場に入り、一度壁を剥がして下地を作り直して家具を取り付けていった。

 

キッチン収納 ナラ

 

後日、タイル屋さんが壁面にタイルを貼った後、壁面の棚板とスチールラックを取り付けて完成。

 

キッチン収納

 

リビングから正面に見えるキッチン裏の壁面をリフォームすることでリビング空間全体の雰囲気が大きく変わった。生活観に蓋をするための収納ではなく、あるべきものに然るべき居場所をつくるような家具になってくれたらいいと思う。

 

takashi

 

 

キッチン背面収納

キッチン収納 ウォールナット

W1800 x D450 x H850  ウォールナット材 ウレタンクリア塗装

 

磯子区のお客様からのご依頼で、マンションのキッチン背面にカウンター収納を製作させていただいた。

大まかなご要望を持ってご夫婦で工房にお越しいただいたところからスタートし、その内容を踏まえてデザイン案を作成。その後、材料やガラスサンプル、取手等、なるべくイメージが湧きやすいようにお見せできるものを準備して、より具体的な打ち合わせへと進んでいった。

 

何度かお会いしていくうちにお客様の好みや、どういう部分を大切にされているかが自然と理解できるようになってくる。それを僕たちの価値観とすり合わせながら、細部の寸法設定、木目の選び方、真鍮の仕上げ方など細かい部分を検討していくことで、この出会いの中でしか生まれ得ないものになっていく。

 

キッチン収納 ウォールナット

 

 

さらに、リビングにTVボードを自作されるとのことで、その板の製作を追加でご依頼頂いた。ウォールナットで統一されているインテリアに合わせつつもイメージが硬くなりすぎないように、節の有る少しワイルドな雰囲気のウォールナット無垢材で製作させていただいた。

 

節有りウォールナット

 

これからこの家具たちが日常の中で機能しながら、ご夫婦の生活に心地よく寄り添う存在になってくれたらいいなと思う。

 

takashi

 

HOUSE PROJECT 1

 

 

You can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. / 2005 steve jobs

 

 

今、私たちHALFMOON FURNITURE WORKSHOPが参加している家つくりのプロジェクトが進んでいます。今回はプランや外観のデザイン、内部の仕様や造作家具など、お客様が大切にする部分をヒアリングして建物の設計から家具の提案まで担当させていただいています。施工は茅ヶ崎の松尾建設さん。それぞれの立場でアイディアを出し合いながら、作り上げていく家づくりです。

 

私は高校生のときに、坂茂さんの紙の建築(ルワンダ難民キャンプのプロジェクト)や宮脇檀さんの住宅の考え方に興味を抱き、20代後半まで無我夢中で建築を勉強し、仕事をしていました。その中で、もっと作る現場を見たいという願望が強くなり、30代は家具製作を勉強、いまはHALFMOON FURNITUREとして独立し家具を作っています。

 

建築に興味を持ち始めてから約20年。

遠回りもしましたが、今回このような家つくりのプロジェクトの仕事ができることがとてもとても嬉しく、ありがたい気持ちで取り組ませて頂いています。人との出会いや繫がり、経験は目に見えない宝物ですね。。

 

建築だけをやっていた頃とは違う、色々な経験をしたことで見えてくることがあるという確かな実感があり、昔から頭の片隅にあったスティーブジョブスの言葉を思い出しました。点と点がしっかりとした線になるよう、今後も取り組んでいきます。

 

年明けには工事が始まる予定で計画は進んでいます。ブログにも経過を記載しますので、お楽しみに。

 

kumiko

10月の工房オープン日変更のお知らせ[ open:10/29(日) close:10/22(日) ]

毎月第4日曜日を工房オープン日としておりますが、

誠に勝手ながら、今月のオープン日は、10月29日(第5日曜日)に変更させていただきます。

こちらの都合で大変恐縮ですが、10月22日(第4日曜日)はお休みとなりますのでご了承下さい。

家具のご相談や打ち合わせをご希望の方は、事前にご予約いただければオープン日以外でも承りますので、お気軽にご連絡いただければと思います。

 

HALF MOON FURNITURE WORKSHOP
OPEN : 10月29日(日) 13:00〜17:00
 
家具のご相談や工房にご興味がある方は、是非お越しください。

お待ちしております。

 

※一部の展示品を現品販売しております。

すべて一点ものになりますので、ご興味のある方はお問い合わせください。

寺家回廊2017

寺家回廊2017    10/6(金)~9(月)10:30~17:00

http://www.jike-kairo.net/

 

わたしたちの工房がある寺家町には絵画・陶芸・版画・木工などの

工房やギャラリーが点在しています。

毎年開催される「寺家回廊」では、各作家のアトリエやギャラリーを

公開し作品の展示や販売、ワークショップなどを行います。

 

この寺家回廊にHALFMOON FURNITURE WORKSHOPも参加します。(10/7,8,9のみ)

里山の景色が広がるここ寺家の工房へ、この機会に是非お越しください。

期間中、HALFMOON FURNITURE WORKSHOPでは家具やスツール、小物の展示、販売をしています。

酒井俊/田中信正デュオ

先日、横浜の「上町63」に大好きなミュージシャン、酒井俊さんとピアニスト田中信正さんのデュオを聴きに行った。

俊さんのライブに行くのは3年ぶり。前回も「上町63」での田中さんとのデュオだった。これまでにもサックスの林栄一さんを入れてのトリオ編成やバンド編成など観てきているけれど、3年前に観た、わずか15人程度しか入れないこの小さなお店での田中さんとのデュオがすばらしかった。無駄なものがなにもない、声とピアノだけ。そして演奏する2人の姿。俊さんの創り出す世界を壊す要素が何一つない完璧な空間で、会場の小ささも何も感じないほどその世界に引き込まれた。

 

それ以来デュオでのライブを待ち続けてきた。約一ヶ月の全国ツアースケジュールの中でたった一日だけデュオの予定があるのを発見したのが数日前。しかも横浜で。何とか時間を作って行くことにした。

 

俊さんの表現力は、日本人として世界に誇れるものだと思う。それはトム・ウェイツやニーナ・シモンと並んでも引けを取らないレベルだと僕は思う。その世界観は映画的であり、落語的であり、風景が浮かぶ。

そして、その世界を完璧に音にできるピアニストは田中信正さんしかいないのではないかと思う。演奏技術の高さはもちろんだけれど、それだけなら他にも良いピアニストはたくさんいる。それ以上に音とその姿で世界を作り出す表現力を持つ稀有な存在だと思う。2人の繊細さがかみ合ったときの引き込まれる力がものすごい。

 

この日も俊さんの声と田中さんの出す音は相変わらず、息が合っているなんていう言い方がふさわしくないぐらい、全く同じ世界から鳴っていた。歌からピアノソロ、ピアノソロから歌がこんなにも一つの流れとしてつながっていく演奏は、2人が完全に同じ風景を描いているとしか思えないほどだった。

 

こういう小さなお店でこれほどすばらしいライブを観られることは幸せなことだと思う。だけど、これほどの才能のある人たちが、広く一般的には受け入れられていないのかと思うと複雑な気持ちにもなる。

 

takashi

ウォールナット 丸テーブル

丸テーブル ウォールナット

φ1150  H720  ウォールナット無垢材 オイル仕上げ

 

大野圭一建築設計事務所からのご依頼で、マンションのリフォーム工事に合わせてウォールナット材の丸テーブルを製作させていただいた。今回は建築家大野さんのデザイン案を元に製作方法、強度等を検討し、打ち合わせを重ねて詰めていくという進め方。

 

お客様のご要望は、方向性なく囲める一本脚の丸テーブル。大野さんのデザインの狙いは、モダンな雰囲気にリフォームした内装、インテリアに合うように、できるだけ華奢なシルエットにすること。まずそのコンセプトを理解し、共通の認識としてスタートした。製作の立場として、構造的に成り立たないのはやはり怖い。安全を見て部材を太くするのは簡単だけれど、デザインの狙いを形にするためにはそのギリギリを狙う必要がある。部材を細くするために金物で補強するのか、それとも木工的に処理するのか等、何度も話をしながら細部を検討する。大野さんは細部の形状の模型を作って持ってきてくれたり、こちらで組み立て部分の詳細な施工図を描いたり、細かいイメージを共有していく。最終的には金物を使わない、木工的な方法で強度を保てるギリギリの寸法、組み方で製作することになった。

 

丸テーブル ウォールナット

 

丸テーブル ウォールナット

 

丸テーブル ウォールナット

 

丸テーブル ウォールナット

 

違う立場の人が一緒にものを作り上げる場合、目的を共有し、お互いの立場や経験を尊重つつ、緊張感を持って向き合うことができない限り、決して良い方向には進まない。大前提としてそれぞれが誠実でなければありえない。今回はそれがとても自然な形でできて、僕にとってもとても刺激的な製作になった。

 

takashi

9月24日(日)工房オープン致します。

HALF MOON FURNITURE WORKSHOP
OPEN : 毎月第4日曜日 13:00〜17:00
 
今月も工房オープン致します。
家具のご相談や工房にご興味がある方は、是非お越しください。

お待ちしております。

 

※一部の展示品を現品販売しております。

すべて一点ものになりますので、ご興味のある方はお問い合わせください。

蘭越へ -及川農園 3-

日が暮れた畑には蛙の鳴き声が響いていた。仕事から帰ってきた末っ子のともよちゃんも合流して皆で火を囲む。ひんやりとした空気の中、炭火の暖かさが心地良い。真夏だというのにこの感じ、幸福感が増す。新鮮な野菜とラム肉をほお張りながら肇さんとかをりさんの話に耳を傾けていた。

 

前職はコンサルタントだった肇さん、仕事で何度か富岡に来るうちにすっかりこの地域の人々に魅せられてしまい、「たった一度の人生、この場所で虫のように生きてみたい」と移住を決めたという。かをりさんは「コンサルが農家の人にコンサルされちゃったのよ。」と笑う。

人里離れた大地を目指してではなく、人のいる場所としてこの地域を選んだという考えに納得させられた。

 

この地での初めての冬、灯油を切らしてしまい、すぐに配達は来るだろうと電話をかけるもその日に配達なんて来てくれず、文字通り死ぬほどの寒さに朝までひたすら耐えた話。雪かきを怠っていたある日、夕方家に帰ると積もりに積もった雪が窓ガラスを破り、家の中に雪崩が起きていた話。一生懸命育てたとうもろこしの収穫の朝、畑に行くとそのほとんどが狐に食べられていた話。肇さんとかをりさんがそうしていたのと同じように狐も一番良い日を待っていて、そのタイミングの判断も全く同じだったという。まわりの農家の人たちには、「狐が食べきれないぐらいたくさん植えないとだめだよ。」と笑われたという。次々に出てくるいくつもの困難や失敗の話をさらりと明るい笑い話に変えてしまう2人のエネルギーが本当に気持ち良い。

 

中でも、上の2人のお子さんたちの脱北の話は印象的だった。及川家の子供たちの間では富岡から出ることを「脱北」と呼び、小さい頃からその日を夢見ていたという。肇さんとかをりさんは、子供たちは自分の意思ではなく、この土地に連れてこられた立場だからと、ちゃんと脱北のチャンスを与えていた。最初のチャンスは高校受験。札幌の公立高校に学区外の枠で受かること。それを逃せば高校卒業の歳まで待たなければいけない。中学三年生になるとそれぞれに自分の意志で決めさせるのだという。この畑で働くも良し、受ければ受かるという地元の蘭越高校に進学するも良し、学区外の札幌の高校を目指すも良し。一番上の娘さんが目指したのはもちろん「脱北」。しかし、そもそも少ない枠の公立高校の学区外枠、思っていたほど簡単ではなかったらしく、結果は失敗。それを見ていた弟は焦った。ゲームが大好きで、それまで毎日ゲームばかりしていたという彼が、自らそれを封印、突然勉強を始めたのだそうだ。その結果、見事高校入学時の脱北に成功した。

その後、お姉さんの方も蘭越高校から国立大学合格という学校創立以来初の快挙を成し遂げ脱北した。

確固たる価値観を持ちながらも子供たちにはそれを強要することなく、自分たちの意志、価値観を育て、尊重する肇さんとかをりさんのやさしさの奥の強さに憧れる。

 

流行とか見栄とか地位とかそんなこととは全く関係のない自分たちの価値観を持ち、そこに誇りを持って生きているお二人の姿は絶対的に格好良い。長靴や頭に巻いた手ぬぐい、土のついた作業着さえお洒落に見える。

 

いつのまにか炭火も消え、冷え込んできたので小屋の中に移動して、さらに夜中まで話して過ごした。

星野道夫は言う。「人と出会い、その人間を好きになればなるほど、風景は広がりと深さを持ってくる。」と。本当にその通りだと思う。通り過ぎるだけでも十分素敵な場所だけれど、ここに来て、この場所で生きる肇さんとかをりさん、ともよちゃんと出会えて本当に良かったと思う。

 

takashi